2025年11月07日|経済の見方と今後のマーケット展望

2025年11月07日|経済の見方と今後のマーケット展望

11月7日の主要経済動向まとめ

目次

アメリカ経済とマーケットの現状

アメリカでは労働市場の減速懸念が急速に強まっています。6日に発表された民間調査で、10月の人員削減数が15万3,000人超と22年ぶりの高水準となり、特にテクノロジーや倉庫部門での削減が目立ちました。AI導入による組織再編が背景にあり、ハイテク株を中心に警戒感が強まっています。

株式市場は主要3指数がそろって下落し、ダウ平均は一時500ドル超下落。投資家心理の悪化が鮮明となりました。ただし、シカゴ連銀による失業率推計は4.36%と前月比で微増にとどまり、労働市場が急激に悪化しているとは言い切れないという見方も根強くあります。バンク・オブ・アメリカの内部データでも、給与振込ベースの雇用者数は前年比0.5%増と、減速は緩やかであるとの判断です。

一方、民間の弱い指標を受け、12月のFOMCでの利下げ観測は70%近くまで上昇。長期金利も低下し、株価下落を一定程度相殺する動きが見られました。

AIバブルをめぐる議論と大手企業の動き

AI関連株の上昇が続く中、オープンAIの幹部は「投資家の熱狂はむしろ足りない」と述べ、AIの成長余地を強調しました。一方で、循環投資(投資資金でAI企業が半導体などを奪い合う構造)への批判は誤解だと反論しています。

マイクロソフトは、新たに**「超知能(スーパーインテリジェンス)」開発に参入**すると発表。オープンAIとの契約見直しにより、自社での開発が可能になりました。AI競争は一段と激しさを増しています。

イギリスの金融政策

イングランド銀行は政策金利を4.0%で据え置き(2会合連続)。消費者物価指数は3.8%と依然高水準ですが、同国はインフレがピークアウトし始めた可能性を確認しつつ、追加利下げには慎重姿勢を保っています。

ただし、英国通貨ポンドは弱含みで推移。財務省の増税方針などが影響し、対円では200円を割り込む局面がありました。


テスラ株主総会と企業動向

テスラ:マスク氏への巨額報酬案が承認

日本時間午前6時に始まった株主総会で、最大1兆ドル(約150兆円)規模のマスクCEOへの報酬案が賛成多数で承認されました。
報酬は一括ではなく、時価総額の増加など特定目標を達成するごとに株式を最大12回付与する仕組みです。

EV市場の成長鈍化やAI分野での競争が激化する中、巨額報酬承認には「マスク氏を長期的に経営に留める」狙いがあります。


労働市場の評価についての専門家の解説

マキシムグループ久野氏は、労働市場に関する指標間のブレが大きい点を指摘し、今回の人員削減数だけで強い悲観は不要との見方を示しました。ADP雇用統計では民間雇用者が3か月ぶりに増加しており、労働市場の鈍化は「緩やか」とする評価が可能としています。

ただし、インフレ指標の発表が政府閉鎖の影響で遅れる中、FOMCが追加利下げに踏み切る条件が見通しにくい点もリスクとして挙げられました。


日本および欧州のマーケット概況

債券市場では米国の弱い雇用データを受けて金利が低下し、安全資産への需要が強まりました。原油や金の先物は反落。

ヨーロッパ株式市場は英国の利下げ期待が相場を一定程度支えつつも、全体としては反落しました。


日本企業の決算と国内経済動向

日産自動車の中間決算

日産は4〜9月期に2219億円の最終赤字を計上。
世界的な販売不振や米国の追加関税によるコスト増が重荷となりました。

再建策として、横浜本社ビルを970億円で売却する計画が示され、財務体質の改善を急ぎます。

その他の国内ニュース

  • アスクル:サイバー攻撃で停止していた法人向けサービスを来月上旬にかけて段階的に復旧へ。
  • 民放連:ガバナンス強化策を決定し、外部専門家を含む審議会を設立。
  • 政治・政策動向
    • 高市総理がレアアース開発での日米協力強化を表明。
    • 労働時間上限規制緩和について「副業リスクも踏まえ慎重に」と述べる。
    • 自民党は維新との連立合意に盛られた衆院定数削減について、今国会での合意は困難との見方を示した。

年末商戦とアメリカ消費の二極化

久野氏の分析によれば、アメリカ経済は「K字型」と表現され、所得層によって消費行動が分かれています。

  • マクドナルド:値下げやバリューメニュー戦略が高所得層にも支持され、業績は堅調。
  • ファーストカジュアル業態(チポトレ等):価格が高く、若者中心に来店が減少し業績が不振。

ビザの見立てでは年末商戦の販売額は前年比4.6%増。ただしインフレ要因を除く「実質ベース」では2.2%増と伸びが鈍る見通し。消費者信頼感指数も低下しており、財布の紐は固い状況が続くと見られています。


ソフトウェア産業の新潮流:パランティアモデル

生成AIの普及拡大により、ソフトウェア企業の戦略構造が変化しています。注目されるのがパランティアテクノロジーズのモデルです。

パランティアの特徴

  • 企業や政府に向けてデータ活用基盤を提供
  • 散在するデータを統合し、業務アプリを迅速に構築可能
  • 高度な専門家(デプロイメントストラテジスト、フォワードデプロイドエンジニア)が導入を伴走
  • サービス型と受託型の“良い部分取り”モデルで高い利益率を実現

生成AIの発展で、パランティアの基盤が「AIが使いやすいデータ環境の整備」として機能する点が評価されています。一方、一社ずつ丁寧に導入するため、急激な売上拡大は難しく、この点が株価の高い期待に耐えられるかが焦点となっています。


その他:社会・消費関連の話題

アメリカでは「高プロテイン食品」が異例のブームとなり、市場規模は1,140億ドルと巨大化。健康志向やSNSの影響で、運動を伴わずにプロテインを多く摂取する層も増えており、栄養のバランスをどう保つかが課題となっています。


まとめ

11月7日は、労働市場の見えにくさが市場全体の不安要因となる一方で、AI関連や大型企業の動きが投資家の関心を強く集めました。アメリカ消費は二極化が進み、年末商戦も「名目は堅調・実質は鈍化」という構図。国内では企業決算が分岐し、日産の大幅赤字やアスクルの復旧など、経営の転換点となる発表が相次ぎました。

全体として、金融政策・インフレ・AI競争が複雑に絡み合い、12月FOMCをにらんだ市場の手探り状態が続いています。

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