石破首相が辞任を表明:過去の首相辞任と日経平均株価の動きを検証

石破首相が辞任を表明:過去の首相辞任と日経平均株価の動きを検証

石破首相が辞任を表明:過去の首相辞任と日経平均株価の動きを検証

本日(2025年9月8日)、石破首相が辞任を表明しました。このような政治の大きな転換点は、市場関係者の間で常に注目を集めるイベントです。特に「首相辞任」のような出来事は、投資家心理に直接的な影響を与えるケースが多いと考えられます。本記事では、過去の日本の歴代首相が「辞任を公式に表明」したタイミングを起点として、その翌営業日の日経平均株価がどのように変動したかを詳細に調査・分析します。過去のデータから、市場が首相辞任というイベントにどのように反応してきたのか、その傾向と要因を探り、今回の石破首相辞任後の市場の動きを考察する上でのヒントを提供します。

目次

石破首相辞任表明と日経平均株価:過去事例から市場の反応を徹底検証

調査概要:過去の首相辞任と日経平均株価の動き

本調査では、主に1950年以降の首相辞任表明を対象に、翌営業日(T+1)の日経平均株価(Nikkei 225)の終値変化を分析しました。具体的には、以下の指標を用いています。

  • 基準:翌営業日(T+1)の終値変化
  • 指標:前営業日比(上昇・下落)、初値ギャップ、変動幅(高値・安値)

データは主に2025年9月7日(JST)にStooqサイトから取得したNikkei 225の日次OHLCデータに基づいています。首相辞任表明の発表ソースには、首相官邸公式サイト、自由民主党史、国会図書館の日記、UPIやGuardianなどのニュース記事などが参照されました。

対象件数と全体の傾向

  • 18件の事例分析:信頼できる公開ソースが確認できた18件の辞任表明を分析。
  • 約30件の事例分析:別の調査では、約30件の事例が分析対象。

全体の傾向として、「辞任=必ず株安」というわけではなく、むしろ次期政権への期待値や経済環境によって方向性が変わります。多くのケース(約8割以上)では、翌営業日の日経平均株価の変動は±1%以内に収まり、辞任そのものが市場を大きく動かすことは稀です。市場は「辞任そのもの」よりも「次のリーダー像」や「政策継続性」を評価する傾向があります。特に、金融政策・財政政策の継続性、与党内の後継人事、国際環境が重要な要素として作用します。

日経平均株価の統計的分析

  • 18件の調査による結果
    • 平均変化率:0.21%
    • 中央値:0.44%
    • 標準偏差:2.02%
  • 約30件の調査による結果
    • 平均変化率:+0.3%前後
    • 中央値:約+0.25%
    • 標準偏差:約3.2%(1987年のブラックマンデーを除外すると±1%未満に収束する傾向)

ポジティブな市場反応の事例(株価上昇)

  • 田中角栄(1974年11月26日):2.78%上昇 または 4.51%上昇
  • 菅義偉(2021年9月3日):3.91%上昇
  • 橋本龍太郎(1998年7月13日):2%超の上昇 または 1.68%上昇
  • 佐藤栄作(1972年6月17日):1.45%上昇
  • 吉田茂(1954年12月7日):1.22%上昇

補足: 麻生太郎首相については、ある調査では(2009年9月16日)の辞任表明で2%超の上昇、別のデータでは(2009年8月30日)の辞任表明で−0.39%の下落とされ、辞任表明日や調査対象の違いにより結果が異なる可能性があります。

ネガティブな市場反応の事例(株価下落)

  • 中曽根康弘(1987年10月20日):−14.89%の大幅下落(ブラックマンデーの影響)
  • 羽田孜(1994年6月25日):−2.24%下落
  • 福田康夫(2008年9月1日):−3.54%下落 または −1.75%下落(リーマン危機直前)
  • 鳩山由紀夫(2010年6月2日):−1.12%下落
  • 海部俊樹(1991年10月5日):−1.08%下落

補足: 岸信介首相は、(1960年6月16日)の辞任で−4.41%との報告がある一方、(1960年6月23日)の辞任では+0.27%上昇とのデータもあります。宮澤喜一首相も(1993年7月22日)の辞任で−1.72%下落とする調査と、同日で+0.17%上昇とするデータが併存しており、辞任表明日の特定や採用データセットの違いが結果差を生んでいる可能性があります。

年代別の傾向と取引時間の影響

  • 年代別傾向:
    • 18件の調査:1970年代・1980年代は平均プラス(+1.09%、+1.91%)。1990年代・2000年代は小幅マイナス、2010年代は+1.49%の平均上昇。
    • 約30件の調査:1970年代はややプラス(+1.8%程度、田中効果)。1980年代は大きなマイナス(ブラックマンデー影響)。1990年代はほぼ横ばい(−0.2%程度)。2000年代は小幅マイナス。2010年代はほぼフラット(+0.3%程度)。2020年代はプラス(+2.5%、菅・安倍の事例)。
  • 取引時間の影響:
    • 18件の調査では発表時刻不明が多く、全件を「取引時間外」と扱い比較は未実施。
    • 約30件の調査では、取引時間内の発表(例:菅義偉 2021年、宇野宗佑 1989年)は当日から織り込まれやすく、特に菅首相時は即日急騰。一方、取引時間外の発表(例:福田康夫 2008年、安倍晋三 2020年)は翌営業日の寄り付きで反応。ただし統計的な有意差は限定的で、市場環境や辞任の文脈が反応を左右。

まとめ:石破首相辞任後の市場の注目点

今回の石破首相の辞任表明は、短期的に市場の注目を集めるイベントであることに間違いありません。過去の事例が示すように、翌営業日の日経平均株価は上昇するケースも下落するケースも存在します。

重要なのは、市場が「辞任そのもの」だけでなく、「次のリーダー像」や「政策の継続性」、そして「金融政策・財政政策」といった要素を評価する傾向にあることです。また、同時期の世界経済・金融環境が株価に与える影響は圧倒的に大きい点にも留意が必要です。

明日以降、日経平均株価がどのように動くのか、次期政権への期待、あるいは政局の不透明感など、様々な要因が複合的に作用して市場の動きが決まるでしょう。本記事が、今後の市場の動きを読み解くための一助となれば幸いです。


執筆者について

この記事はChuta-Investment-and-Tradingのchutaが執筆しました。chutaは兼業投資家で、証券外務員1種を取得し、CMAを目指し勉強中です。長期投資・信用取引スキャルピング・FX自動取引を研究しています。

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