2025年9月26日|経済の見方と今後のマーケット展望

2025年9月26日|経済の見方と今後のマーケット展望
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いまの経済の見方:米景気は「底堅い」→利下げペース観測が後退

米国では、4–6月期実質GDP(確定値)が上方修正され、個人消費・設備投資の強さが再確認されました。加えて新規失業保険申請件数は市場予想を下回り、雇用の粘り強さも示唆。これらの組み合わせが米長期金利の上昇圧力となり、「年内の連続利下げ」観測はやや後退しています。

FRB内の温度差も引き続き意識されます。9月会合で0.5ポイントの利下げを主張したハト派の理事がいる一方、地区連銀総裁からは「前倒しの過度な利下げには慎重」とする発言も。結果として、今後の政策はデータ依存が一段と強まり、景気指標の一つひとつのブレに相場が反応しやすい地合いです。

さらに、米議会上院での「つなぎ予算」否決により10月1日以降の政府機関閉鎖リスクが高まっている点も不確実性に。短期なら影響は限定的とされるものの、長引けば雇用統計やCPIなど主要統計の公表が遅れ、金融政策の先行き判断を難しくします(2013年や2018–19年の閉鎖時にも公表遅延の前例)。

今後のマーケット展望:強弱材料の並走

米株・世界株の押し目圧力要因

  • 「利下げペース鈍化」思惑と金利上昇が高バリュエーション銘柄の重荷に。実体の伴う大型テック中心とはいえ、短期的な調整局面は繰り返しうるとの指摘があります。
  • ボラティリティ売りポジションの積み上がりや、高所得層の消費者センチメント鈍さと株高の乖離は、ショック時の値幅拡大リスク(VIX急騰やクロス円主導の円高)を高める可能性があるとの為替ストラテジストの見立て。

支えとなる材料

  • 10月から本格化する米決算で情報技術セクターの高い増益率が見込まれるとの調査(業績裏付けの再評価が進めば上昇基調を取り戻す可能性)。
  • グローバルでは、中銀の利下げ再開やドル安局面を背景に「流動性拡大」と資産配分の株式シフトが株高を支えてきたとの専門家の解説。株と債券の正相関化で、戦略的に株式比率が高まりやすい構造も指摘されています。

日本株のポイント

  • 日本株は最高値圏が続く中、資金の地域別流入が変化。北米マネーの存在感が増す一方で、インデックス偏重から「個別・アクティブ」への回帰を促す環境(為替ヘッジを用いない投資主体の増加や、日銀ETF売却の影響など)が示唆されています。

直近の指標と相場の受け止め(要点)

米4–6月期実質GDP(確定):年率+3.8%へ上方修正。内訳は個人消費+2.5%、設備投資+7.3%。景気の底堅さが再確認され、金利は上昇方向。株式にはバリュエーションの重しに。

米新規失業保険申請:21.8万件と予想下振れ、労働市場は依然タイト。

PCE物価(8月、発表予定):コアの前月比は+0.2%程度と落ち着いた伸びを想定。年次改定に伴う貯蓄率の見直しは、家計の消費余力評価を左右しうる論点(前年は改定で過処分所得・貯蓄率が上方修正)。

スイス中銀(SNB):政策金利を0%据え置き。景気下支えと為替介入方針を併記。主要中銀の中でも極めて低い政策金利が継続。

為替と日本の物価:当面の焦点

為替(ドル/円)
米金利上昇を背景にドル高・円安基調。2年債・10年債利回りの上昇を受け、ドル円は149円台後半の場面も。もっとも、リスクオン下のクロス円主導の円売りという側面が強く、センチメント反転時は円高に振れやすい点に注意が必要です。

東京都区部CPI(9月)
コア前年比は+2.8%程度へ加速の見込み。主因は電気・ガス補助金の縮小による押し上げ(約+0.2%pt)。米の足元物価と同様、エネルギー・食品以外の基調を見極めたい局面。足元、米の貯蓄率改定と同じく、日本でも家計の実勢を測る視点が重要になります。

物価の中期リスク
人手不足を背景に中小企業の倒産増加がサービス価格へ波及する局面では、期待以上に粘着的な物価となる可能性も。来年度前半に一時2%割れの局面を見込む声がある一方、人件費転嫁の進み具合がカギです。

5. 特集トピックの要点(専門家の解説)

世界株高の背景
専門家はグローバル流動性の拡大」を主要因に挙げています。米欧日の利下げ再開やドル安局面を通じた輸入物価抑制が、各国中銀に利下げ余地を与え、特に新興国では通貨高が資本流出懸念を和らげました。結果、世界的にマネーサプライ拡大とともに株価が上昇。さらに、コロナ後に株と債券の正相関が強まったことで、機関投資家の戦略的資産配分は相対的に株式比重が高まりやすい構図です。

転機となりうる局面
FRBが再開した利下げをいつ停止するかが次の重要イベント。仮に来年以降に利下げ停止が意識される局面で、企業の利益成長が十分でなければ、過度なリスクテイクの修正=「金融不安定化」リスクが意識される可能性があるとの見立てです。

企業決算・企業動向の整理

デジタルグリッド(電力取引プラットフォーム)

  • 上場後に株価は急伸後、直近は今期減益見通し表明を受けて調整。背景は発電事業者の増加→競争激化で、取引単価が17.7%下落したことが響いたため。卸電力市場の変動と供給再開の広がりが競争を強めた格好です。
  • 課題だった営業CFは一時**▲13億円まで悪化も、今期は黒字化へ。長期借入を3倍化、総額100億円超のコミットメントラインを確保するなど資金繰り耐性を強化。中計では3年で売上倍増・営業利益率40%**維持を掲げ、**再エネ比率40–50%(2040年度方針)**の追い風を見込む構図です。

そのほか注目トピック(要旨)

  • Amazon:有料サービス巡る訴訟で25億ドルの和解金(うち15億ドルが利用者返金)。UX設計とコンプライアンスの両立があらためて課題に。
  • スターバックス:北米事業の立て直しで約900人削減、10億ドルの関連費用見込み。2月の1,100人削減に続く再編。消費回復とコスト最適化の綱引きが続く見通し。

まとめ(投資家向け視点)

  • ベースシナリオ米景気は底堅く、FRBは「拙速な利下げ」に慎重。決算シーズンでの業績確認がカギ。金利上昇の一服と増益確認が重なれば、再びリスク選好が戻る余地。逆に、政府閉鎖の長期化や統計公表遅延は「不透明感プレミアム」を押し上げ、バリュエーション修正の圧力。為替はドル高・円安基調でも、リスクオフ転換時の円高スパイクに備えたい。
  • 日本の物価:都区部コアは補助金縮小で一時的に加速見込み。ただし中期は人件費の価格転嫁動向と中小企業の動向が基調物価のカギ。**「補助金要因の剥落」と「賃金の粘着性」**という相反する力学をどう見るかが重要。
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